THE BLACK CROWES

LIVE (2002, V2)



 前作『Lions』はジミー・ペイジとのジョイント・ライヴを経てまた一つ昇華したクロウズ・サウンドの醍醐味が味わえるひたすらカッコいい作品だったが、とうとう2002年初頭にバンド活動休止を発表してしまったクロウズのこれは2001年のオアシスとの『Lions』サポートツアー(Tour of Brotherly Love)の模様を惜しみなく収録した2枚組ライヴ盤。当然ながら『Lions』の曲が6曲と一番多くカバーされているが、彼等のフェアウェル・ツアーらしく、全てのアルバムからほぼ満遍なく選曲された、いわばベスト・ライヴ的な構成に仕上がっている。バンドの演奏はと言えばもう1枚目トップの「Midnight From The Inside Out」からいつものドライヴ感とブギー・グルーヴ満点のクロウズの演奏はただひたすら迫力とスピード感満点のロックンロールをくり出すという申し分のないもの。2枚目途中からボーカルのクリスがちょっとヨレ出してボーカルがややフラット気味になって行くが、そこは力技で「She Talks To The Angesl」「Lickin'」「Hard To Handle」とパワーチューンを繰り出して立て直し、最後は「Remedy」でレイドバック気味に締めるという美しさ。ファンには堪らないこのライヴセット、クリスのソロ作もリリースされてしまった今や、クロウズの最終作にふさわしい好盤と言える。(阿多)
LIONS (2001, V2)



 時代も2000年代に入り、シーンを席巻するサウンドスケイプもヒップホップやミクスチャー・ロックで覆い尽くされている昨今。そんな中で未だに旧来からの音楽表現の方法論をベースにして換骨奪胎を見事に成し遂げているのがいわゆるオルタナ・カントリーであり、ルーツ・ロックである。このブラック・クロウズというバンドも音楽表現の方法論は60-70年代のブルースをベースにしたロックというどうしようもなく保守的なものでありながら、そのパフォーマンスたるや驚くほど新鮮であり、聴く者の耳からウロコを落としてくれるという意味でこれらの素晴らしい換骨奪胎組の1つ。特にこの前のジミー・ペイジとの共演ライヴ・アルバムの経験を経て、クリス・ロビンソンのヴォーカルやリッチ・ロビンソンのギターには単なるブルース・ロックという意匠にツェッペリンの亡霊までも染みつかせて驚くほどの表現力と新鮮さで聴く者を圧倒する。とにかく冒頭から「Midnight From The Inside Out」「Lickin'」「Come On」「No Use Lying」あたりまでの4曲くらいは曲間無しで息もつかせずにクリスのボーカルとバンドのタイト無比な演奏が立て続けにあなたをノックアウトしてくれる。何よりもプレイしている彼等の表現する喜びがビンビンに伝わってくるあたりがひたすらカッコいいし、気持ちいい。後半の「Cosmic Friend」以降のレイドバックした演奏もいい。時代に関係なく自信と表現力に富んだ伝統的なロックバンドのパフォーマンスはそれ自身で1つのスタイルとして完結しうることを証明したアルバムだ。残念ながらこのアルバムを最後にバンド解散の噂も流れているが、このまま自然消滅するには実に惜しいバンドだけに活動再開を是非期待したい。(阿多)
LIVE AT THE GREEK - JIMMY PAGE & THE BLACK CROWES(2000, TVT)



1999年10月に僅か6公演しか行われなかった、ジミー・ペイジとブラック・クロウズという、一瞬あれっと思うけど音楽指向の出自を考えると無茶苦茶よくわかる組み合わせのツアーから、LAのグリーク・シアターで行われたライヴを収録した2枚組がこれだ。当初2000年2月にはインターネット上のみでしか販売されてなかったんだけど、ジミー・ペイジらしい商売っ気も働いたのか、7月に晴れて一般リテール発売されたものだ。演奏されているのは数曲のブルースのカバーを除いては全てツェッペリンの曲。これがまたクリス・ロビンソンのボーカルにロバート・プラントが憑依したかのような迫力でどちらのバンドのファンをも思わず唸らせる出来。プラントのようにハイトーンにフェイク気味に悶える切れ味みたいなものはないが、腹の底から絞り出すようなクリスのボーカルとペイジのギターが絶妙の絡みを見せている。曲はツェッペリンのファーストから『プレゼンス』くらいまでの曲をほぼ満遍なくやっていて、こりゃあライヴは盛り上がったろうな。オジサンロックファンにもクロウズのファンにも是非聞いてもらってそれぞれのアーティストの新しい面を充分に堪能して欲しい、そんなアルバムだ。(阿多)
THREE SNAKES AND ONE CHARM (1996, AMERICAN)



いやいやこいつらは痛快なぐらいに売れることを意識していない。作品を追う毎に渋くなり、ズブズブと深みにはまっていく。1stの頃の切れ味の鋭さはぐっと後退して、それに比例して(?)売り上げも作品毎に落ちている。今やすっかりブルージーでグルーヴィなサザン・ロック・バンドだ。
よく言われるように1996年にこの音を鳴らす必然性はまったくない。これは完全に過去の音楽スタイルである。しかし時代の流れと無関係でいるとか、前作と同じ路線であることが、果たしてこいつらを批判する理由に成りえるだろうか?こいつらのやっていることは70年代の焼き直しではなく、70年代の人達と「同じこと」である。つまり、彼等のお手本は70年代ロックではなく、ブルーズであり、ソウルなのである。アルバムのどの瞬間を切り取っても、最高にヘヴィでグルーヴィで豊潤な音か詰まっている。世間ではまったく評価されていないようだが私は傑作だと思う。(しんかい)


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