BABYFACE

FACE 2 FACE(2001, Arista)
ここでこのアルバムが買えます  かつて袂を分けたはずの盟友L.A.リードが社長に就任したアリスタ参加に自らのレーベルを設立。とはいえ、自らの音楽性を追求し、より美メロに拍車にかけていくんだろうと思っていたらびっくり。ファースト・シングル「There She Goes」、ヴィデオ・クリップでは細面で不精ひげを生やし、サングラスをかけた男が女性と絡み、ストリート感のあるビートに乗せたファルセット・ヴォイスが浮遊する。ラストの字幕クリップが無ければ判らなかったほどの豹変ぶりだ。冒頭1曲目からスヌープ・ドッグをフューチャーするなどして過去のイメージを一掃。従来の美メロ、優男の甘く頼りなさげな語り口調の節回しは減り、ある意味硬派に男臭さを前面に出している。今までのメロディ・メーカー"ベイビーフェイス"がヴォーカリストとして1人立ちを始めたようだ。発声方法もヴァリエーションを加えるなど、彼の声質がそれに合っているかどうかは別にして様々な色合いを魅せている。一聴しただけだと誰のアルバムか判らないくらいだ。過去のイメージを払拭し、新たな道を歩み始めた彼には敬意を表するが、個人的には今までのカラーの方が好き。良くも悪くも、誰でもわかるベイビーフェイスでいて欲しい。その意味からも原盤ラスト(日本盤は1曲多い)で親友に乗り換えた彼女への恨み節を甘く、切なく、頼りなさげに囁く「With Him」は、その歌声、メロディともにまさに媒ベイビーフェイス媒で絶品。(小松)
MTV UNPLUGGED NYC 1997(1997, Epic)
ここでこのアルバムが買えます  ベイビーフェイスのアコースティック・サウンドへのこだわりは、前々作「For The Cool In You」あたりから顕著であったし、通常のアルバムの中で彼なりの完成されたサウンドを確認済みだったので、今回の企画はベイビーフェイスのアコースティック・ライヴ、というよりは、身内中心の少数オーディエンスのセッティングでレイドバックした雰囲気で自分の自然なパフォーマンスを聴かせる、という意味の方が強かったに違いない。そのあたりは選曲やバックの雰囲気、招いたゲスト陣との呼吸みたいなものに如実ににじみ出ていて、スタジオで完成された作品とはまた大分違った、より音と音との間のゆとりみたいなものが一種のグルーヴとして感じられるような出来上がりになっている。  お約束のクラプトン、『How Come, How Long』がスリリングな出来のスティーヴィー・ワンダー、さらにはトニ・ブラクストン役で意外に力強い熱唱を聴かせるシャニースなど客演メンバーもそれぞれいいパフォーマンスを聴かせているが、目玉はエドモンド兄弟とヘイリー兄弟の企画グループ、マイルストーンとしての『I Care About You』。ライヴでこの名演を聴けた当日の観客がはっきりいって羨ましい限りだ。(阿多)
THE DAY (1996, Epic)
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 はじめに断っておくと、これは大いなる「愛」のアルバムである。但し、このコメントを聞いてR. Kelly系の濃厚な音を連想すると肩すかしを食うに違いない。それほどBabyfaceの新作は、前作「For The Cool In You」のシンプルな音作りを更に発展させ、音・リリック共にストレートな愛の世界を表現している。その愛はトレーシー夫人への情熱あふれる愛であり、また神への感謝を通じて生まれたばかりの愛息ブランドンへ限りなく注がれる無条件の愛である。そうした愛する人への思いを抑え目ながら今風のR&Bアレンジのメロディにのせて切々と訴えるメロメロの曲たちの中で、ひときわ異なる印象のタイトル曲「The Day (That Gave Me A Son)」では、初めての子供を授かった喜びを実に感覚的に表現している(ああ何という歓喜の涙/未だかつて経験のないこの感じ/まるで昔から歌詞は知っていたのに/聴いたことも歌ったこともなかった歌のようだ)。
 つまるところ、このアルバムはかくも極めて私的な作品であり、そんなのろけには付き合ってられないよ、という向きにはお勧めできない。ただ人間がここまで自らの気持ちをさらけ出して表現する姿にある種の感動を禁じ得ず、特に最愛のパートナーや子供を持つ者には共感できる作品ではないかと思う。蛇足ながら、80年代R&BラバーとしてはJody WatleyとHoward Hewettの懐かしい歌声をフィーチャーした「This Is For The Lover In You」に対し拍手を送りたい。(阿多)

問:人間の行為として最も罪深いものはどれか。以下の3つから選べ。
 @子供が生まれた喜びを写真入り年賀状にし、知人に片っ端から送り付ける。
 A子供が生まれた喜びを写真満載のホームページにし、インターネット上に流す。
 B子供が生まれた喜びを歌にし、レコードで発表する。
 ソングライター、プロデューサーとしての才能に比べると、Babyfaceのボーカリストとしての力量はかなり頼りないものがある、ということに異論を唱える人は少ないと思う。その点については現代の音楽シーンを代表する幾多の歌姫達と共同作業を行ってきた彼が一番よく解っているはず。にもかかわらずパフォーマーとしてどうしても表現したいものがある、となれば内容は当然パーソナルなものとなると。非常に分かりやすい。
 そんな訳でBabyfaceの新作は夫婦愛、家族愛がメインテーマ。身近な題材についてどうしても過剰になりがちなゲスト参加陣を極力控えめに起用し、頼りなげながらも味のある"Babyface節"でとつとつと語っていくと。その結果は非常に好感のもてるシンガーソングライターアルバムの出来上がり。ゆったりとした雰囲気の好盤となっている。
 ところで冒頭の問の解答だが、いずれのケースでも他人にとってはどうでもいいことに変わりないので、どれでも正解と。そういうことで。(八亀)


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