ARNOLD

THE BARN TAPES (1997, CREATION)



クリエイション社長、アラン・マッギーの「当面新規に契約はしない」という宣言を、舌の根も乾かないうちに撤回させたデモ・テープという異色のデビューEP。「96年夏にクリエイション用にマッギーの納屋で録音されたオリジナルのデモ」とクレジットされているのが笑えるが、そんなにやけ笑いも音を聴くと吹っ飛んでしまう。ここにはすでに、ひとつの音の世界がある。新人とかデモとか、そんな「予断」をも許さないほどの、強さと確信が感じられる。様々なタイプの曲があるのに、一体感があるひとつの理由は、どの曲にも美しいメロディと刹那的に枯れた雰囲気が共通していることだろう。その影が初代ヴォーカリストを亡くしたというバンドの負の遺産のものだと聞くと、苦悩をバンドの一部にしてしまう強さと繊細さに感動せずにはいられない。さらに、ほぼ全ての作業をメンバーで手掛けたと思われるのに、出来た音の「頃合い」が良い。ぴったりツボにはまっている感じ。「第三者的な冷静な意見が欲しかったから」セルフ・プロデュースを避けるミュージシャンは多いが、全てを自分たちで作り上げてこの出来、というのにはバンドとしての音楽的力量に感服せざるを得ない。(宣恵)



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