INDIA.ARIE

VOYAGE TO INDIA (2002, Motown)



 デビュー作があまりにも調和感いっぱいのふくよかで瑞々しいイメージで統一された、佳曲満載の秀作だったから、この2作目を作るのはなかなか容易なことではなかったろう。しかしグラミー賞ノミネーション総なめにした前作に続く本作を作るにあたってもインディアのアプローチは基本的には一切変わっておらず、前作同様のアコギをメインにした楽曲に乗せて淡々とした彼女の歌声が自分の心情、ポジティヴなメッセージ、何と言うことのない日常から沸き起こってくる発見、等等について語りかけてくる。どこといって問題にすべき所はなく、しっかりとしたプロダクションのよく出来たアルバムだと思う。だけど何だか今ひとつひっかかりがないのが気になる。例えば(比べてはいかんのだろうが)前作で輝いていた「Brown Skin」のような、誇りと凛とした気品に満ちたようなはっとする楽曲が見当たらない。何となく聴き流して聴けば聴き流してしまえる、そんな必要以上のスムーズさがこのアルバムのいいところでもあり、物足りないところでもある。前作で新たなるシンガーソングライターの有り様を提示してみせた彼女のこと、是非次作ではもう少し喉の奥に小骨がひっかかるような、そんな作品も披露してみせて欲しい。(阿多)
ACOUSTIC SOUL (2001, Motown)



 タイトル通り、アルバム全体を通じて自ら弾くアコギが大きな役割を担っているインディア・アリーのデビュー・アルバムは、ここのところ必要以上に使い古されている感のある「オーガニック・ソウル」と言う言葉を決してギミックでなく、実感として使いたくなるそんな自然さとふくよかさがじわっと伝わってくる作品。単に演奏や歌のナチュラルさだけでなく、彼女自身が全曲のソングライティングに関わっていてグラミー賞主要2部門ノミネートの「Video」を始め、「わたしはプリンセスなんかじゃなくて琥珀色の肌をしたただの女の子」と何となく自伝的な趣の佳曲「Brown Skin」、スピリチュアルな「Strength, Courage & Wisdom」、ブルージーな趣が素晴らしい「Always In My Head」などなど楽曲自体も極めてレベルが高いあたりが、新人ながらダークホース的に最優秀アルバム賞を含むグラミー賞7部門にノミネートされた所以だろう。面白いのは、彼女が影響を受けたと思しきアーティスト名が列挙される、アルバムの要所を締める「Intro」「Interlude」「Outro」で、ジャズやR&Bのブラック・ミュージシャン達に混じってジミ・ヘンドリックスやカレン・カーペンターなどの名前が同列で挙げられていること。そうしたジャンルを問わない影響を受けた彼女だからこそ、新人らしからぬ総合的なミュージシャンシップの高さが存分に発揮されたこういうデビュー作ができたんだ、と納得することしきり。(阿多)


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