CHRISTINA AGUILERA

STRIPPED (2002, RCA)



 99年にデビュー、アルバムから3曲ものNo.1ヒットを放ち、Britney Spearsと並ぶ女性アイドル筆頭格に登りつめたアギレラがようやく2枚目のアルバムを発表してくれた。発売前からロックになるとかHip Hopになるとか事前情報が飛び交い、先行シングルの「Dirrty」は強烈なインパクトを与えてくれたが、アルバムは意外と普通のつくりで肩透かしを食らった。
 まず先に個人的な見解を述べておくが、私はこのアルバムはそこそこ気に入っていて、当時の新譜群の中ではかなり聴いている方であった。事実、それぞれの曲の出来は全く申し分ない。一つ一つを取り出せば、どれもシングルヒットを記録できそうなナンバーばかりだったし、実際に「Dirrty」がシングルとしては不発に終わった後も、「Beautiful」「Fighter」「Can't Hold Us Down」がしっかりTop40ヒットを記録した(原稿執筆時)。しかしどうしてもベスト盤を聴いているかのような、寄せ集め的雰囲気が拭えなくて仕方がない。確かに彼女の歌唱力を持ってすれば、R&B、ラテン、ロック等々どのような路線にも対応はできるとは思うが、あまりにもいろんなことを詰め込み過ぎていて流れが悪い。ヒットこそしなかったものの「Dirrty」は彼女の新境地を感じさせる画期的な曲だと思うが、このアルバムの流れで聴くと違和感ばかりが募る。
 何となくその持って生まれた才能を上手く活かしきれていないようでもどかしい。今後はアルバム全体の仕上がりを意識した完成度の高い作品を提供してくれることを期待したい。そうすればその歌唱力だけで十分やっていけ、無駄に脱いだりする必要もなくなるはずだ。(小川ボ)
JUST BE FREE (2001, Platinum)



 アギレラのデビュー前音源集。まずはっきり言っておくが、これはよほどのアギレラ・コレクターでない限りは縁のない代物である。とにかく何よりも、プロダクションが酷い。アギレラ本人が本作の発売を止めさせようと訴訟を起したのも当然のことだ。まず、ボーカル自体、商品として発売することを前提としたレコーディングしたものと言うよりはあくまでも「デモ」として録音したらしい。で、そのボーカルトラックに、後付けで、安っぽいトラックを乗っけている。それだけの代物。そもそも曲が良くないし、演奏やアレンジは素人同然。ボーカルも、まあ確かに並みの子供よりは巧いが、かなり不安定で、荒い。ブックレットもショボく、ジャケ写以外にアギレラの姿は登場しない。もう、とにかく、何一つ購買意欲をかきたてない作品なのだ。私もたまたま発売から日が浅いうちに中古で見つけたのでついつい買ってしまっただけで、アギレラ・ファンを自認する私でさえ、あの時偶然出会わなければ、無視を決め込んでいた作品だ。中古で投げ売りされていたら、話のタネに、ぐらいのつもりで買ってもいい−その程度の存在感の作品。(しんかい)
MY KIND OF CHRISTMAS (2001, RCA)



 デビューアルバムを出した年にクリスマスアルバムとスペイン語アルバムを相次いでリリースし、その同じ時期にボーナストラックをたっぷりつけて2枚組にした新装版デビューアルバムを出し直し、実質1年で4枚のアルバムをリリースしたアギレラ。目立ってなんぼのアイドルは、メディアに露出する機会が多いのはいいことだが、あまりにも雑に乱発しすぎてないか?と思わされた。
 たとえばこのアルバム。内容的には、まあ、きちんと作ってあるのだが、ブックレットにアギレラの写真が全然ない。アイドルだろ、おい?こんなぺらぺらのブックレットで、写真載せないでどうする。こんな地味ジャケでどうする。
 99年のクリスマスにシングルチャートでヒットした「The Christmas Song」のビデオバージョン(CDシングルには未収録だった)+ビデオクリップ(当時のまま)が収録されたのはポイント高いが、逆に言えば1年前のネタの使い回しってのは新鮮さで勝負のアイドルには本来禁じ手だろう。  本当に歌のうまい子であることは実感できるが、アレンジに魅力がないのか、なんだか聴いてても楽しめない。ビジュアル面で、せっかくのこの子の美しさが全然活かされてないし、歌のうまさがアレンジに足を引っ張られて魅力を失っている。この程度の扱いをされてしまうんなら、移籍を考えたほうがいいぞ、アギレラ。(しんかい)
MI REFLEJO (2000, RCA)



 なぜか日本では2001年2月になってからリリースされているが本国では2000年秋のリリース。
 全編スペイン語作品で、単にスペイン語で歌ってみました、というだけではなく、完全に「スペイン語市場向け商品」に特化しており、ブックレットのプロダクション・クレジットなどもすべてスペイン語。ということで、アメリカではたいしたヒットにならなかったこの作品も、南米を中心とするスペイン語市場では軒並み大ヒットを記録した。内容は「Genie」「Come On Over」など英語バージョンでヒット済みの曲のスペイン語版(単に歌をスペイン語で歌い直しただけでなく、アレンジにも手が加えられているものが多い)を一通り収録し、それに今回のアルバム用のオリジナルが何曲か。オリジナル曲はスパニッシュ・ギターがぽろろん、というミドル〜スローのアコースティックな曲が多い。適当にダンスっぽく仕上げて誤魔化そうというんではなく、アギレラの歌をじっくり聴かせようという製作者の意図が伺え、その点は好感がもてる。しかしなあ。曲が良くない。なんか、聴き終わって、メロディが耳に残ってる曲がひとつもない。聴いてるその時は別にひどい出来だとは思わないが、まったく印象に残らないのだ。アメリカ人が外国語作品に挑もうという姿勢は画期的だし、ラテンブームに便乗した形とは言え、アイドルシンガーがそれをやってのけたという点では天晴れだ。しかし英語もスペイン語も母国語としない我々には、どちらかと言えば英語作品のほうが魅力的なようだ。っていうかアギレラは何やってもOKだけどさ。(しんかい)


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