RYAN ADAMS

DEMOLITIOIN (2002, Lost Highway)



 前作『Gold』の商業的・作品的双方の成功によって、ウィスキータウンのしがらみを完全にふっ切ったライアンが満を持してスタジオに入って作り出したのがこの作品。何でも新作のために彼が一気に書き上げた曲が全部で60曲もあったというから驚く。その中から厳選してこの作品に収録された13曲、さすがにどれを聴いても完成度の高いメロディと楽曲構成、そしてそこここに痛みと建設的な感傷をたたえたぐっとくる曲が並んでいる。完成度が高いといっても「ボヘミアン・ラプソディ」みたいな曲が並んでるわけじゃなくて(笑)さりげないメロディと歌詞にライアンならでは、と思わせるテンションが感じられる曲が多い。何となく70年代初期のシンガーソングライター華やかなりし時代に輝いていたランディ・ニューマンやエルトン・ジョンらの初期の作品を思わせる。シンプルなヴァースの繰り返しがパワフルな「Desire」、トルバドゥール・シンガーの第一人者の面目躍如なポイグナントさを感じさせる「Cry On Demand」、アコギのゴージャスな音とライアンのボーカルが見事なアンサンブルを聴かせる「Dear Chicago」など佳曲揃い。収録から漏れた残りの47曲がこうなってくると聴きたいもんだ。(阿多)
GOLD (2001, Lost Highway)



 ライアン・アダムスの作り出す音楽のファンに取って2001年はまたとない収穫の年だった。1998年のウィスキータウン解散直前に録音されたままオクラ入りとなっていた『Pneumonia』とこの『Gold』の両方が届いたのだから。『Pneumonia』の頃の音と今回のこのアルバムの音を比べて見てまず一番に耳に心に響いてくるのは、ライアンの作り出す楽曲とそれを表現する彼のボーカルと音楽性が一段と骨太さと間口の広さを増したことだ。ウィスキータウンの頃の風に吹き消されそうな蝋燭の炎のような切迫感漂う生の迫力は若干薄れた代わりに、自分の楽曲に対する自信と良い意味でのどっしりとした貫禄のようなものがアルバム全体に漂っており、聴き進めるうちにハラハラすることなく心地よいライアンの世界に浸っていくことができる。NYへの想いを躍動感一杯に表現した「New York, New York」、カウンティング・クロウズのアダム・ドゥリッツを迎えてザ・バンド的なレイドバック・グルーヴを聴かせる「Answering Bell」、クリス・スティルス(スティーヴン・スティルスの息子で本作を全編に渡ってサポート)のギター・オブリガートが印象的な「La Cienega Just Smiled」などなど一曲一曲ごとに多様なスタイルの、でも思いっきり裸の想いを乗せた楽曲群がうれしい。目新しい新奇さや聴き手の虚をつくギミックは一切無し。でもシンパシーを感じることのできる楽曲がここにはある。ウィスキータウン時代の危うさから脱皮して、トルバドゥール・シンガーとして地歩を固めたライアンの今後に乾杯。(阿多)


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